【労働基準法情報】2026年10月号 重要性が増す36協定特別条項と過重労働・労災リスク対策

今月も、2026年10月号のネクステップメルマガより、経営者・人事担当者の皆様が今押さえておくべき注目記事をピックアップしてお届けします!
労働基準監督署の監督・指導体制の見直し
2026年9月1日より、労働基準監督署(労基署)における時間外労働等の監督体制が見直されました。これまでは時間外労働時間数に着目した一律指導が中心でしたが、今後は36協定に定める「健康及び福祉を確保するための措置(健康福祉確保措置)」の実施状況とその記録が重点的に確認されます。
今回の見直しは「長時間労働が容認された」ことを意味するものではありません。むしろ、特別条項を適用する際の過重労働管理や実効性のある健康確保措置がより厳しく問われる時代になったことを認識する必要があります。

36協定「特別条項」適用時の実務とルール整理
時間外労働の上限は原則として「月45時間・年360時間」ですが、臨時的な特別の事情がある場合は特別条項を締結することで限度時間を超えられます。実務上、以下の管理ルールを徹底する必要があります。
特別条項適用のポイント | 実務上の管理内容と注意点 |
|---|---|
| ① 健康福祉確保措置の記録 | 協定に定めた「医師による面接指導」や「連続休暇の取得」等を確実に実施し、証明できる記録(保存期間3年)を残す必要があります。 |
| ② 年360時間超過の手続き | 月45時間超だけでなく年360時間超にも手続きが必要です(例:毎月40時間残業で9ヶ月目に到達)。なお、特別条項発動の回数上限(年6回まで)は「月45時間超」のみカウントされます。 |
長時間労働に潜む
「過重労働・労災認定」
の経営リスク
特別条項を締結していても、過重労働による健康障害や精神障害のリスクが消えるわけではありません。以下の労災認定基準を押さえ、健康管理を徹底することが不可欠です。
- 脳・心臓疾患の労災認定基準
発症前1ヶ月間に概ね100時間超、または発症前2〜6ヶ月間に月平均80時間超の時間外労働(いわゆる過労死ライン)がある場合、業務との関連性が強く認められます。 - 精神障害(メンタル不調)
の労災認定基準
極度の長時間労働(発症前1ヶ月に約160時間超等)のほか、「発症直前6ヶ月間に月80時間以上の時間外労働が継続」している場合、業務による強い心理的負荷として労災認定されやすくなります。

【経営参謀社労士の視点】
実務を円滑に進める
アドバイス
36協定内容の「形骸化防止」と「顧問社労士」への事前相談
「毎年同じ内容で自動更新・提出している」企業が少なくありません。しかし、形だけの健康福祉確保措置(例:実際には実施不可能な面接指導枠の指定等)を定めていると、労基署調査で指摘を受けたり、万一の労災発生時に安全配慮義務違反を問われるリスクが高まります。
自社の36協定の実効性や、健康福祉確保措置の記録方法、労働時間管理体制に不安がある場合は、判断を誤る前に必ず顧問社労士にご相談いただき、実態に即した協定の見直しを行ってください。
まとめ
労基署の指導基準見直しは、企業に対し「形式的な時間管理から、従業員の真の健康確保へ」のシフトを求めています。適正な36協定の運用と過重労働対策を徹底し、持続可能な職場環境を作りましょう。
【参考資料・リンク】
- 厚生労働省 時間外・休日労働に関する協定届(36協定届)
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/roudoukijun_keiyaku/36_kyoutei.html - 厚生労働省 精神障害の労災補償について リーフレット
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken04/090316.html

