【労務管理情報】2026年9月号 シフト制従業員の「年休付与」実務見直しと労務リスク対策

今月も、2026年9月号のネクステップメルマガより、経営者・人事担当者の皆様が今押さえておくべき注目記事をピックアップしてお届けします!
シフト制労働者の年休付与ルールの見直し
労働基準法では、雇入れ後6ヶ月継続勤務し全労働日の8割以上出勤した従業員に対し、年次有給休暇(年休)の付与が義務付けられています。契約時に具体的な労働日数が確定しにくい「シフト制」従業員について、年休付与日数の算出ルールが明確化されました。
「シフト制だから付与日数は適当でよい」と放置するのは危険です。算出ルールと注意点を正しく理解し、適切な社内運用の見直しを進めましょう。
シフト制における「年休付与日数」の新たな算定基準
週所定労働時間30時間未満かつ週所定労働日数4日以下のパート等には「比例付与」を行います。契約時に年間所定労働日数を算出しがたい場合は、以下の「勤務実績」を1年間の所定労働日数とみなして計算します。
| 対象となる 付与タイミング | 年休算定の基準となる労働日数 (みなし基準) |
| ①雇入れ6ヶ月経過時 (初回付与) | 雇入れから6ヶ月間の「労働日数の実績 × 2倍」した日数を、1年間の所定労働日数とみなします。 |
| ②雇入れ1年6ヶ月経過以降 (次回以降) | 基準日直前1年間の「労働日数の実績」を、そのまま1年間の所定労働日数とみなします。 |
■「目安となる労働日数」を定めている場合の注意点
契約時に「月10日程度勤務」等の目安を定めている場合、目安から計算した付与日数が実績ルールによる日数を上回る場合に限り、「目安の日数」を基準に付与できます。実績による日数が多い場合は実績に基づき付与します。

シフト制運用において注意すべき「労務管理の留意点」
- 労働条件通知書への明示義務(詳細な記載ルール)
労働条件通知書に「シフトによる」とだけ記載するのは労働基準法上不十分です。シフト制であっても始業・終業時刻や休日の明示義務があるため、実務上は以下の具体的内容を記載する必要があります。- 基本となる勤務パターン
(例:早番9:00〜17:00、遅番13:00〜21:00等) - シフトの決定手続き
(例:前月15日までに希望提出、前月25日までに確定シフトを通知) - シフトの変更・キャンセル手順
(変更依頼の期限、会社・労働者双方からのキャンセル時の条件) - 労働日・労働時間の目安
(例:週3〜4日、月80時間程度など)
- 基本となる勤務パターン
- 同一労働同一賃金・シフト削減にかかるリスク対策
正社員とパート間で年休付与や手当支払に不合理な差を設けることは禁止されています。また、会社都合による一方的なシフト削減は「事実上の賃金カット」として紛争化しやすいため、事前合意と透明性のあるルール作りが不可欠です。
【経営参謀社労士の視点】実務を円滑に進めるアドバイス
シフト運用の規程化と「顧問社労士」への事前相談
シフト制トラブルを防ぐには、労働条件通知書への明記に加え、「シフトの作成・変更ルール」「キャンセル時の補償」「欠勤時の扱い」等を就業規則やシフト管理規程として可視化しておくことが重要です。
自社の契約書様式や運用ルールが法的要件を満たしているか不安な場合や規程改定については、判断を誤る前に必ず顧問社労士にご相談いただくことを強くおすすめします。

まとめ
シフト制の年休付与や労務管理は、単なる事務手続きではなく、従業員が安心して働ける環境を整え、定着率を高めるための「リスク管理施策」です。
現行の運用や契約内容について不明な点がございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。
【参考資料・リンク】
・いわゆる「シフト制」により就労する労働者の適切な雇用管理の実施に向けた留意事項
https://jsite.mhlw.go.jp/aomori-roudoukyoku/content/contents/001081401.pdf

