所定休日と法定休日の違いとは?
更新日:2024/11/26
企業の労働時間管理や休日の設定において、「所定休日」と「法定休日」という言葉がよく登場しますが、その意味や違いを正確に理解することが重要です。
1. 法定休日とは
法定休日とは、労働基準法第35条で定められている、労働者が必ず取得する権利のある休日のことです。同条では、以下のように規定されています。
「使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない。ただし、4週間を通じて4日以上の休日を与える場合は、この限りではない。」
つまり、法定休日は以下のポイントで整理できます。
- 最低限与えなければならない休日
1週間に1日、もしくは4週間で4日以上の休日が必要です。 - 対象外の日は?
有給休暇や所定休日とは異なるもので、無条件に与えるべき休日です。 - 時間外割増賃金の適用
法定休日に労働させた場合は、通常の賃金に加えて35%以上の割増賃金を支払う義務があります。
2. 所定休日とは
所定休日は、企業が就業規則や労働契約で独自に定める休日を指します。法定休日と異なり、法律で直接規定されているものではなく、以下の特徴があります。
- 企業独自の設定
週休2日制の企業であれば、法定休日1日に加えてもう1日を所定休日として設定するケースが一般的です。 - 割増賃金の扱い
所定休日に労働させた場合は、法定休日とは異なり、25%以上の割増賃金が適用されます(時間外労働と同様)。 - 柔軟な運用が可能
所定休日は企業ごとに設定が異なるため、業務の繁閑に応じて振替休日や代休の運用がしやすいという利点があります。
3. 両者の違いを整理
以下の表で、法定休日と所定休日の違いを簡潔に比較します。
4. 運用上の注意点
所定休日と法定休日は企業運営において重要なポイントですが、以下の点に注意する必要があります。
- 法定休日の明確化
就業規則で「法定休日」を明確に規定しておくことが必要です。曖昧な記載があると、労働基準監督署や裁判でトラブルになる可能性があります。 - 振替休日や代休の扱い
所定休日を振替休日や代休にする場合、その振替が法定休日に該当するかどうかを慎重に判断する必要があります。 - 労働時間管理の徹底
法定休日に労働が発生した場合、適正な割増賃金の支払いが漏れないよう、勤怠管理を徹底しましょう。
5. 実務でのポイント
例えば、週休2日制の企業では、土曜日を所定休日、日曜日を法定休日とすることが一般的です。この場合、日曜日に労働させた場合は35%以上の割増賃金が必要ですが、土曜日の場合は25%以上で済みます。
また、法定休日を指定しない運用をしている場合、「すべての休日が法定休日」とみなされる可能性があるため、注意が必要です。
まとめ
所定休日と法定休日は似ているようで法的な意味や運用方法が異なります。特に、法定休日は労働基準法に基づき義務的に設定されるものであり、所定休日は企業が自主的に定めるものです。これらを正しく理解し、就業規則や勤怠管理に反映することで、労務トラブルを未然に防ぎ、従業員が働きやすい環境を整えることができます。
自社の就業規則が気になったら、就業規則チェッカーをご活用ください。
この記事を書いた人
菊池麻由子