【労働安全衛生情報】2028年4月より全企業で義務化!「ストレスチェック」導入手順と経営リスクへの備え

今月も、2026年8月号のネクステップメルマガより、経営者・人事担当者の皆様が今押さえておくべき注目記事をピックアップしてお届けします!

50人未満の事業場も「義務化」へ

仕事上のストレスによるメンタルヘルス不調を防ぐため、2028年4月1日より、これまで努力義務とされていた「従業員50人未満の事業場(中小企業)」も含めたすべての企業でストレスチェックの実施が義務化されます。

「うちは人数が少ないから関係ない」
「まだ先の話だから」

と放置するのは非常に危険です。メンタル不調による休職や離職は、少人数の職場ほど大きな打撃となります。制度の概要と経営上のリスクを正しく理解し、早めの準備を進めましょう。

経営者視点で考える
「メンタルヘルス対策」の3大リスク

ストレスチェックやメンタルヘルス対策を軽視すると、経営上どんなリスクが生じるのでしょうか。

  1. 安全配慮義務違反(損害賠償リスク)
    従業員がメンタル不調に陥り、過労死や適応障害などで労災認定された場合、会社が適切な措置(労働時間の是正や面接指導等)を怠っていたとみなされると、巨額の民事上の損害賠償責任を問われるリスクがあります。
  2. 休職・復職をめぐるトラブル(社内ルールの不備)
    「休職期間はいつまでか」「主治医が復職可としても会社指定医の受診を命じられるか」といった就業規則(休職・復職条文)の定めがあいまいな場合、復職の可否をめぐって深刻な労務トラブルへ発展します。
  3. 現場の混乱と業務過多
    従業員が突然休職に入ると、他のメンバーへ業務負担が集中し、連鎖退職や職場環境の悪化を引き起こします。

ストレスチェックの実施手順と実務の留意点

ストレスチェックは、ただアンケートを実施して終わりではありません。以下の9つのステップに沿って進行します。

  1. 社内ルール(実施規程)の策定
  2. 調査票の配布・記入(WEBや紙の検討)
  3. ストレス状況の評価・医師面接の要否判定
  4. 本人への結果通知
  5. 高ストレス者からの面接指導の申出
  6. 医師による面接指導の実施
  7. 就業上の措置についての医師からの意見聴取
  8. 就業上の措置の実施(残業免除や配置転換等)
  9. 職場環境の改善(集団分析の活用)
  • 受検の強制はNG /正社員のほか一定条件を満たすパート・契約社員も対象ですが、受検自体を会社が強制することはできません。ただし、受検を推奨する取り組みは必要です。
  • 結果の取り扱いとプライバシー配慮/本人の同意なく、個人の受検結果を会社が入手することは厳禁です(結果は実施者である医師等から直接本人へ通知されます)。

【経営参謀社労士の視点】
実務を円滑に進める2つのアドバイス

  • 「産業医」や外部専門機関との連携体制の構築
    50人未満の事業場には産業医の選任義務はありませんが、ストレスチェックの「実施者」や高ストレス者への「面接指導を行う医師」を確保する必要があります。連携できる地域の産業保健総合支援センターや外部委託機関、医療機関をあらかじめ定めておきましょう。
  • 「休職・復職規程」と「顧問社労士」への事前相談
    ストレスチェック義務化に伴い、高ストレス者の発見や休職者の増加が予想されます。今一度自社の就業規則を見直し、「休職命令の出し方」「休職期間」「復職の基準」が実務に即しているか点検してください。運用上の不安や産業医との連携方法については、判断を誤る前に必ず顧問社労士にご相談いただくことを強くおすすめします。

まとめ

ストレスチェック制度は、単なる「法的な義務」ではなく、社員の不調を未然に防ぎ、安心して働ける職場を作るための「リスク管理施策」です。 2028年4月の施行に向け、社内体制や規程の整備について不明な点がございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。

【参考資料・リンク】
ストレスチェック制度導入ガイド(厚生労働省HP)
小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル(厚生労働省HP)