【労務管理情報】2026年4月入社対応:「雇入時の健康診断」のルールと実務のポイント

今月も、2026年4月号のネクステップメルマガより、経営者・人事担当者の皆様が今押さえておくべき注目記事をピックアップしてお届けします!

新年度が始まり、多くの企業で新入社員や中途採用者を迎える時期となりました。 従業員を雇用する際、法律で義務付けられているのが「雇入時の健康診断」です。
「うちは6月に全社員一斉の定期健診があるから、その時に一緒に受けさせればいいのでは?」と考えがちですが、実はそれでは法的に不十分な場合があります。 本記事では、定期健診との違いや、期間雇用者への対応など、実務上の注意点を解説します。

「雇入時の健康診断」と
「定期健康診断」は別物?

結論から申し上げますと、定期健康診断の実施時期が近くても、原則として雇入時の健康診断を省略して定期健診に一本化することはできません。

目的の違い

  • 雇入時健診:入社時の健康状態を確認し、適正な配置(配属先)を検討するための基礎資料とする。
  • 定期健診:継続的な健康状態を把握し、病気の早期発見や生活習慣病の悪化を防ぐ。

実施時期の目安

「雇い入れるとき」に実施する必要があります。 厳密な期限はありませんが、適正配置という目的を考えると、入社直前または直後(配属前)に実施するのが望ましいとされています。

【重要】
中小企業が意識すべき
「対象者」と「費用」

実務で特にお問い合わせが多いのが、パート・アルバイトや期間雇用の方の取り扱いです。

期間雇用者も対象になるか?

「常時使用する労働者」が対象となります。 以下のいずれかに該当する場合は、正社員以外でも受診義務があります。

  1. 期間の定めがない、または1年以上(深夜業等の特定業務は6ヶ月以上)使用される予定である。
  2. 週の労働時間が、同種の通常労働者の4分の3以上である。

費用負担はどちらが持つべきか?

法的に実施が義務付けられているものであるため、会社が負担すべきというのが厚生労働省の見解です。

混同注意!前職の診断結果
を活用できる条件

入社時に「前の会社で最近健康診断を受けた」という書類を持参されるケースがあります。 この場合、以下の条件を満たせば「雇入時の健康診断」の代わりとすることが可能です。

条件内容

時期

医師による診断を受けてから3ヶ月以内であること。

項目

法令で定められた11項目すべてが網羅されていること。

注意点: 血液検査の一部が欠けているなど、項目が不足している場合は、その不足している項目のみを追加で受診させる必要があります。

【経営参謀社労士の視点】
実務を円滑に進める
3つのアドバイス

単なる「義務」としてこなすのではなく、リスク管理の視点を持って対応しましょう。

  1. 採用プロセスの見直し
    「採用決定後、入社日までの間」に受診を案内するか、3ヶ月以内の結果提出を依頼するフローを定型化しましょう。 配属後に重篤な既往症が判明した場合、安全配慮義務の観点からトラブルになる可能性があります。
  2. 健康診断個人票の5年間保存
    診断結果(個人票)は5年間の保存義務があります。 電子化して管理するなど、紛失しない体制を整えてください。
  3. 内定者への丁寧なアナウンス
    「なぜ自費ではなく会社指定の項目が必要なのか」を事前に伝えておくことで、入社前の安心感に繋がります。

まとめ

「雇入時の健康診断」は、新しい仲間の健康を守り、適正な業務に就いてもらうための第一歩です。 制度の詳細は、厚生労働省のパンフレット等で確認し、不明点があればお早めにご相談ください。

【参考資料・リンク】
労働安全衛生法に基づく健康診断の実施について(厚生労働省HP)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000103900.pdf

健康診断Q&A(厚生労働省HP)

https://jsite.mhlw.go.jp/okinawa-roudoukyoku/var/rev0/0110/7882/2013719142037.pdf